○田野畑村協働のむらづくり基本条例
(平成22年3月17日条例第8号)
わたしたちの田野畑村は、北山崎を代表とする美しい海岸線や緑濃き森林など、豊かな自然に恵まれています。一方で、津波やヤマセによる大飢饉にたびたび襲われた歴史があるなど、多くの先人たちの苦難とたゆみのない努力、英知に支えられ発展してきました。
わたしたちは、この美しくも厳しい自然の中で培われた歴史や文化、伝統、郷土愛、結いの精神を守り育て、個性豊かで自信と誇りを持って安心して暮らせるむらづくりに努め、後世に引き継いでいかなければなりません。
このためには、自治の主役である村民が地域コミュニティ活動に積極的に参加するとともに、村民、議会及び行政の三者が、お互いの責任と役割を自覚し、協働することによってむらづくりを推進していくことが大切です。
わたしたちは、ここに田野畑村のむらづくりの理念を明らかにし、住んでよかったと思える地域社会をつくるため、この条例を制定します。
目次
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 むらづくりの基本原則(第4条-第10条)
第3章 村民の権利と責務(第11条・第12条)
第4章 議会の役割と責務(第13条・第14条)
第5章 行政の役割と責務(第15条-第17条)
第6章 参加及び協働の推進(第18条-第20条)
第7章 コミュニティ(第21条-第26条)
第8章 村政の運営(第27条-第32条)
第9章 連携と協力(第33条・第34条)
第10章 条例の見直し(第35条・第36条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条
この条例は、田野畑村のむらづくりに関する基本原則を定めるとともに、村民の権利と責務、議会と行政の役割と責務を明らかにし、村民、議会及び行政との協働による住民自治を推進することによって、生き生きとした地域社会の実現を目指すことを目的とします。
(条例の位置付け)
第2条
この条例は、むらづくりの基本を定める最高規範であり、他の条例、規則、計画等の策定改廃等に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重するとともに、整合を図るものとします。
(定義)
第3条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1)
村民 村内に住む人、村内で働く人、村内で学ぶ人、村内に事務所がある法人及び村内で活動する団体
(2)
行政 村長をはじめとするすべての執行機関
(3)
議会 議決機関としての田野畑村議会
(4)
むらづくり 村民が安心して安全に暮らせる豊かな地域社会を形成するためのさまざまな取り組み
(5)
協働 村民、議会、行政の各主体がそれぞれ果たすべき責務と役割を自覚し、相互に補完しながら連携してむらづくりに取り組むこと
(6)
住民自治 主権者としての村民が、主体的に地域課題の解決や地域振興に向けてともに考えて行動すること
(7)
コミュニティ 村民がお互いに助け合い、心豊かな暮らしを築くことを目的として自主的に結ばれた自治会やボランティア等の組織及び団体
第2章 むらづくりの基本原則
(住民主体の原則)
第4条
むらづくりは、村民が主体となって進めるものとします。
(協働の原則)
第5条
むらづくりは、村民、議会及び行政がそれぞれの役割と責務のもと、協働で進めるものとします。
(人権尊重の原則)
第6条
むらづくりは、村民、議会及び行政がお互いの人権を尊重しながら進めるものとします。
(情報共有の原則)
第7条
むらづくりは、村民、議会及び行政が情報を共有しながら進めるものとします。
(信頼関係構築の原則)
第8条
むらづくりは、村民、議会及び行政が信頼関係を築きながら進めるものとします。
(自主参加の原則)
第9条
むらづくりは、村民、議会及び行政の自主的な参加のもとで進めるものとします。
(対等の原則)
第10条
むらづくりは、村民、議会及び行政がむらづくりのすべての局面において、対等、平等及び公正でなければなりません。
第3章 村民の権利と責務
(村民の権利)
第11条
すべての村民は、むらづくりに参加する権利を有します。
2
すべての村民は、議会及び行政の保有する情報を知る権利を有します。
3
すべての村民は、公正かつ適正な行政サービスを享受する権利を有します。
4
次代を担う子どもが村民として守られ、個人として尊重される権利を有します。
(村民の責務)
第12条
村民は、むらづくりにおける自らの責任と役割を認識し、積極的な参加に努めるものとします。
2
村民は、多様な価値観を認め合い、自らの発言及び行動に責任を持たなければなりません。
3
村民は、次代を担う子どもたちの健全育成を図るため、子どもたちが夢と希望を持って成長できるむらづくりを推進しなければなりません。
4
村民は、村政運営に係る経費を公正かつ適正に負担しなければなりません。
第4章 議会の役割と責務
(議会の役割と責務)
第13条
議会は、村民の代表として選ばれた議員により構成される意思決定機関及び議決機関として、行政活動が公正かつ誠実で効率的に実施されているかを調査・監視し、牽制する役割を果たさなければなりません。
2
議会は、議会における意思決定の内容及びその経過を明らかにし、分かりやすく村民に説明しなければなりません。
3
議会は、自らも政策立案等を行い、村民の意思が反映される活動に努めなければなりません。
(議員の役割と責務)
第14条
議員は、村民から選ばれた公職者として公正かつ誠実に職務を遂行し、公益のために行動しなければなりません。
2
議員は、村民の意思が村政に反映されるよう常に地域の課題や村民の意見を把握するよう努めなければなりません。
第5章 行政の役割と責務
(村長の役割と責務)
第15条
村長は、村の代表者として地方自治法に規定されている権限を行使し、村民の信託に応えるため公正かつ誠実に職務を執行しなければなりません。
2
村長は、村民の意向を適正に判断し、村政の課題に対処したむらづくりを推進しなければなりません。
3
村長は、村職員を適切に指揮監督し、効率的な村政運営に努めなければなりません。
(執行機関の責務)
第16条
執行機関は、それぞれの管理に属する事務について、その権限と責任において、公正かつ誠実に職務の執行に当たらなければなりません。
(村職員の役割と責務)
第17条
村職員は、自らも村民としての責務を果たすとともに、村民の視点に立って、公正、誠実かつ効率的に職務を遂行しなければなりません。
2
村職員は、職務の遂行に必要な知識の習得及び能力向上に励み、村民に信頼されるよう努めなければなりません。
第6章 参加及び協働の推進
(参加の推進)
第18条
行政は、重要な計画等の企画立案、実施及び評価等の過程において、村民参加の機会の拡大に努めなければなりません。
2
行政は、委員会その他の付属機関等の委員を委嘱しようとするときは、特に専門性が必要な場合を除き、公募による委員を加えるよう努めなければなりません。
3
村民参加に当たっては、男女が社会の対等な構成員であることを認識し、女性や若者が参加しやすい環境づくりに努めなければなりません。
(協働の推進)
第19条
行政は、村民との信頼関係を深めるとともに、地域におけるさまざまな課題を解決するためお互いの知恵と力を出し合い、協働によるむらづくりを進めるものとします。
2
行政は、協働のむらづくりを推進するため、むらづくり活動及びコミュニティ活動が促進されるように必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。
3
行政は、前項の措置を講ずるに当たっては、村民活動の自主性及び自律性を尊重し、総合的かつ計画的に行うものとします。
(協働を推進する委員会の設置)
第20条
行政は、村民との協働によるむらづくりを推進するため、協働を推進する委員会(以下「委員会」という。)を設置するものとします。
2
委員会の組織及び運営に関し、必要な事項は、別に定めます。
第7章 コミュニティ
(コミュニティの役割)
第21条
コミュニティは、多様な活動を通じて人と人とのつながりをはぐくみ、地域を守り支えるよう努めるものとします。
2
コミュニティは、地域の暮らしの中で先人が築いてきた文化、伝統等を生かしはぐくみながら、将来にわたり引き継ぐよう努めるものとします。
(住民自治の推進)
第22条
村民及び行政は、地域に根差したむらづくりが村民主体となって行われるよう、地域コミュニティと行政との間で役割と責任を分担する住民自治の推進及び充実に努めるものとします。
(住民自治活動への参加)
第23条
村民は、村民と行政の役割分担と協働により公共サービスの新たな担い手となる住民自治活動の重要性を認識し、自ら積極的に住民自治活動に参加するよう努めるものとします。
(コミュニティの育成)
第24条
村民は、地域に根差したコミュニティが安心して心豊かに暮らすことのできる地域社会を実現する重要な組織であることを認識し、その活動に参加、協力するものとします。
2
村民は、自らの住む地域に誇りと愛着を持ち、「自分たちの地域は自らの手でつくる」という思いを持ち、コミュニティを守り、育てるように努めるものとします。
3
村民は、民主的な地域運営を進めるため、女性・若者・子どもたちを含めた一人ひとりの意見が反映されるコミュニティづくりに努めるものとします。
4
村民は、子どもからお年寄りまですべての人たちが安心して安全に暮らせるコミュニティづくりに努めるものとします。
(相互の連携)
第25条
それぞれのコミュニティは、必要に応じて連携協力し、お互いの活動の支援に努めるものとします。
2
地域コミュニティは、少子高齢化の進展により自治活動等に支障が生じてきていることを踏まえ、その自主的な判断により、隣接のコミュニティ及び行政等との連携の在り方を協議することができます。
(行政とコミュニティのかかわり)
第26条
行政は、コミュニティの自主性及び自律性を尊重するとともに、コミュニティ活動に対し必要な支援を行わなければなりません。
第8章 村政の運営
(地域づくり計画)
第27条
地域コミュニティは、地域住民が主体となって地域の振興に取り組むため、地域づくり計画を策定するものとします。
2
地域づくり計画の策定に当たっては、行政は必要な支援を行わなければなりません。
(総合計画)
第28条
行政は、総合的かつ計画的な村政運営を行うため、目指すべき将来像などを明らかにした基本構想とこれを具体化するための計画で構成する総合計画を策定しなければなりません。
2
総合計画の策定に当たっては、地域コミュニティが策定した地域づくり計画の実現を勘案するものとします。
3
総合計画は、新たな行政需要にも対応できるように、必要に応じて計画内容を見直します。
(財政運営)
第29条
行政は、財源を効率的、効果的に活用し、自主的かつ自律的な財政運営に努めなければなりません。
(情報の公開)
第30条
行政は、村民との協働を推進し充実したものにするため、村政に関する情報を積極的に提供し、村民との情報共有を進めていくものとします。
(個人情報の保護)
第31条
行政は、個人の権利や利益を守るため、個人に関する情報の収集、利用、提供、管理等について必要な措置を取らなければなりません。
(危機管理体制の確立)
第32条
行政は、村民の生命、財産及び暮らしの安全を確保するとともに、緊急時に総合的かつ機能的な活動を行うことができるよう、危機管理の体制整備に努めます。
2
行政は、村民、議会及び関係機関等との連携と協力を図りながら、災害時に備えます。
第9章 連携と協力
(村外の人々との連携)
第33条
村民、議会及び行政は、さまざまな活動や取り組みを通じて、村外の人々との交流の促進と連携を図り、その知恵や意見をむらづくりに活用するよう努めるものとします。
2
行政は、前項のような活動に対する支援に努めるものとします。
(広域連携)
第34条
行政は、国、県、近隣市町村及びその他の機関との情報共有と相互理解のもと、それぞれの自主性を保ちながら連携し、協力し合いながらむらづくりを推進するものとします。
第10章 条例の見直し
(この条例の検討及び見直し)
第35条
行政は、この条例がむらづくりの推進にふさわしいものであるかどうか等を、必要に応じて検討するものとします。
2
行政は、前項の規定による検討を行う場合、第20条で規定する委員会の意見を聞かなければなりません。
[
第20条
]
3
行政は、第1項の規定による検討の結果、見直しを必要とする場合は、村民の意向を適切に反映しながら、必要な措置を講ずるものとします。
(委任)
第36条
この条例の施行に関し必要な事項は、村長が別に定めます。
附 則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。