断崖・渓谷・橋・峠

隆起した大地と侵食の造形美

田野畑の海岸段丘

 田野畑の海岸線(南北約12km)は、弁天崎付近を除いてほぼ直線的であり直接外洋に面しています。西側の山地から高さ200?250mの平坦な丘陵が東へ広がり、海岸線直前で急激に落ち込むこの地形を「海岸段丘」といいます。この広く平坦な高地では、冷涼な気候とあわせて酪農に適しており、牧野が開かれ、海岸線の河口部や入江のわずかな低地では漁業が営まれるなど、人々の生活に地形の特徴と長所が生かされています。


鵜ノ巣断崖


北から南の方角を見た田野畑の海岸線

海岸段丘のでき方


現在も毎年平均的に0.2mmの速さで隆起しているという近年の研究や測定データがあります。

思案坂、辞職坂の歴史と橋

 昔、田野畑へ赴任してきた役人や教師たちが、谷越えのあまりの険しさに、このまま行こうか、それとも引き返そうかと思案したといわれる槙木沢の「思案坂」。
 思案坂にかかる「槙木沢橋」は谷底から高さ105m。「思案坂大橋」は高さ115mもあります。
 苦労して何とか思案坂を通過した者が、その先に待ちかまえるさらに深く大きい松前沢の谷に、ついには職も投げ出して帰ったというのが「辞職坂」。坂にかかる「思惟大橋」は120mもの高さにあります。いずれも昭和期後半の40年?59年頃にようやく完成し、村への交通アクセスが容易になりました。
 これらの橋の上からは約100万年の時間をかけて削られた海岸段丘の深い渓谷が見てとれます。


左 思案坂大橋 右 槇木沢橋

北山崎の成り立ち、海食洞


北山崎

 弁天崎より北側に位置し壮観な風景を成す北山崎周辺は、前期白亜紀(約1億2千万年前後)に火成活動があった際の火山岩や溶岩などからなり、断崖全体が赤茶けて見えます。
 海岸の崖に、波による侵食で形成された洞窟を海食洞といい、崖の断層や割れ目など比較的弱い部分が徐々に侵食され、掘られたり貫通したもので、現在は通り穴などと呼ばれサッパ船(漁船)による漁場への近道として利用されました。また観光クルーズの通り抜けでは人気ポイントとして喜ばれています。


矢越崎の通り穴

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