たのはた特有の自然・動植物
貴重で豊かな自然に囲まれて
田野畑村は中央部から西になだらかな山々と高地が広がり、東の海岸線は"海のアルプス"とも呼ばれる豪壮な隆起海岸の断崖となっています。冬場の降雪量は比較的少ないものの、夏には沿岸域から内陸部にかけて三陸特有の「やませ」が覆い、四季を通じて冷涼な自然環境となっており、固有種こそありませんが他には見られない特異性豊かな動植物の生態を見ることができます。
やませ
やませとは初夏から盛夏にかけオホーツク海気団より吹く湿潤な北東風と海霧の俗称で、これまで東北地方に幾度も凶作をもたらしてきた原因の一つとされます。反面、やませが断崖群にかかる幻想的な瞬間は、多くのカメラマンが憧れる風景ともなっています。

シロバナシャクナゲ・断崖上のブナ群
北山崎から北山浜にかけての自然遊歩道沿いには亜高山植物のシロバナシャクナゲ群落、ブナと赤松の巨木混成林があります。
太平洋側の海岸線にシロバナシャクナゲやブナが存在する例は珍しく、やませによる冷涼な気候と湿気が特異な環境を作り出しているものと思われます。(シロバナシャクナゲは1954年(昭和29年)岩手県の天然記念物に指定。6~7月が花期見頃)


ヒメボタル
甲地・三沢地区の渓流に生息。ゲンジボタルやヘイケボタルよりも一回り小さく7ミリ~9ミリほどで、黄金色の強い光の点滅が特徴です。環境変化に弱く、全国的にも生息地が激減しています。
日本で初めての発見は田野畑だった! チョウセンアカシジミ

生息分布がシベリア南東部、中国大陸北東部、朝鮮半島および日本列島の一部で、日本海を取り巻くことから、遠い昔に日本列島と大陸が陸続きであったことを証明する貴重な生物とされます。日本では1953年(昭和28年)に田野畑村で初めて発見され、世界的にも限られた地域、国内でも岩手・山形・新潟の一部にしか生息しないことから、幻の蝶と言われています。
○その他、田代地区に自生するサクラソウ群落、田野畑の浜岩泉地区が北限の自生地と確認された暖地性植物のイワタバコ(1969年(昭和44年)岩手県の天然記念物に指定)などがあります。