令和4年度施政方針

2022年3月4日

 令和4年3月4日開会の令和4年第2回田野畑村議会定例会において、佐々木靖村長が施政方針演述を行い、令和4年度の村政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。

1 はじめに

 本日ここに、令和4年第2回田野畑村議会定例会が開催され、令和4年度当初予算案や村政の重要案件をご審議いただくにあたり、村政運営に取り組む施策について所信の一端を申し上げ、議員各位をはじめ村民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 本村沿岸部に甚大な被害を及ぼした東日本大震災から間もなく11年が過ぎようとしています。ここにあらためて、大震災で犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表すものでございます。

 震災後、村では「心をひとつに 未来に向けた復興」を目標に掲げ、その実現に向けて村民一丸となり取り組んでまいりました。
 全国から多くのご支援をいただきながら、昨年9月に村が事業主体となる全ての復旧・復興事業を完了することができました。あらためて村民の皆さまのご理解とご協力、そして全国からのご支援に衷心より感謝申し上げます。

 昨年12月には、国が復興のリーディングプロジェクトとして、強力に建設を進めてまいりました三陸沿岸道路が全線開通し、宮城県仙台市から青森県八戸市までが1本の自動車専用道路でつながりました。これにより、人の流れの拡大や物流の効率化による経済効果のほか、救急医療や防災など、さまざまな分野で村への大きな波及効果が期待されております。
 整備された道路網等の活用を図るとともに、地域間をつなぐ幹線道や日常生活に必要な生活道も充実させ、「道の駅たのはた」を拠点として村の魅力の発信や交流人口・関係人口の拡大などに取り組んでまいります。


 令和4年度は、村民の皆さまから負託をいただき、初めての当初予算編成となります。また、今後8年間の村の政策の方針を定める新たな総合計画がスタートする年になります。村民の皆さまに公約として掲げた政策を着実に実現するため、総合計画に沿った各種施策を展開し、計画の基本理念である「参加・協働・創造」による持続可能なむらづくりを推進してまいります。

2 新型コロナウイルス感染症対策

 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策でございます。
 新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、生活や経済活動などに大きな影響を与えております。本県にあっては、いわゆる第5波が収まって以来、感染リスクの低い状況が続いておりましたが、オミクロン株の市中感染が複数確認され、新規感染者がかつてない水準にまで増え、1月23日には岩手県独自の「緊急事態宣言」が発令されるなど、感染防止対策が喫緊の課題となっております。

 本村においても、新型コロナウイルス感染症対策本部を中心に、感染状況などに応じた感染予防対策を講じてまいりました。新型コロナウイルスの発症や重症化を防ぐ効果が確認されている3回目のワクチン接種につきましては、2月18日に、65歳以上と高齢者施設の方々の接種が完了いたしました。現在、18歳から64歳の方々を対象とした接種準備を進めており、3月中には希望する全ての村民や本村で就業している方々への接種を完了できる見込みとなっております。また、5歳から11歳の子どもへの接種につきましても、関係機関等と鋭意協議を行っているところでございます。
 感染拡大を防止するためには、一人一人の基本的な感染予防対策が重要です。マスクの着用や手指消毒の徹底など、適切な感染予防対策を引き続き呼び掛けてまいります。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けている方々を支援するため、当初予算においては、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、3つの事業の関連予算を計上しております。

  1. たのはた産品消費拡大支援事業
    1つ目は「たのはた産品消費拡大支援事業」でございます。
    村内産品の消費拡大を図るため、農林水産物を加工製造販売している業者に対し、商品の配送に要する経費を補助いたします。
  2. がんばる観光事業者応援事業
    2つ目は「がんばる観光事業者応援事業」でございます。
    経営に支障が生じている宿泊事業者を支援し、観光振興および地域経済の活性化を図るため、宿泊事業者に宿泊費の一部を補助いたします。
  3. 学校給食費保護者負担金の無償化
    3つ目は「学校給食費保護者負担金の無償化」でございます。
    これは、子育て世代への経済的支援として実施するものでございます。

 このほか、感染状況や国・県の動向を的確に踏まえながら、引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている事業者などへの支援を検討してまいります。

3 令和4年度村政運営の4つの柱

 令和4年度の村政運営においては、次の4つの柱を中心として、各種施策を展開してまいります。

(1) 人口減少・少子高齢化対策

 1つ目の柱は、人口減少・少子高齢化対策であります。
 人口減少は、村民生活のさまざまな分野に大きな影響を与える懸念がございます。全国的に人口減少が進行していく中、本村だけ人口を増加させることは極めて困難であり、「いかに人口減少のスピードを少しでも遅らせられるか」という観点で取り組んでまいります。

 村では、保育料の無料化や医療費助成制度の拡充など、他の自治体に先行して子育て環境の充実を図ってまいりました。しかしながら、平成30年度から年間の出生数が10人前後で推移しており、少子化に歯止めがかからない状況となっております。

 これらの課題に対応するため、結婚・出産・子育て環境をさらに充実させ、子育てや教育に係る費用助成の維持・強化、保育環境や小中学校の学習環境の改善が必要と考えております。

 子育て世代への経済的な支援として、育英奨学資金貸付事業、義務教育入学および卒業祝金支給事業、修学旅行費用の一部助成を継続するほか、令和4年度から児童生徒の学校給食費保護者負担金の無償化を実施してまいります。
 また、出生から高校生までの医療費助成、エンゼル祝い金の支給、インフルエンザワクチンの無料接種などの事業を継続してまいります。
 さらに、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を行うため、健康福祉課内に新たに「子育て世代包括支援センター」を設置いたします。妊娠期から子育て期までのワンストップ相談窓口を開設し、出産前後の母子への心身のサポートを行ってまいります。

 高齢者福祉対策は、住み慣れた地域で安心して生活していただくため、保健事業と一体的な施策の展開が必要であり、これまで委託運営しておりました「地域包括支援センター」を健康福祉課内に設置し、きめ細やかな要介護支援者等の支援を行ってまいります。

 教育面においては、小中連携教育を通して、心身の成長や学びの連続性の確保などに取り組んでおりますが、いわゆるコロナ禍にあって多様な学習機会の不足が課題として挙げられています。
 特にも芸術に触れる機会が極端に不足していると感じていることから、文化庁が実施している、いわゆる「芸術家の派遣事業」にエントリーし、子どもたちの情操教育の機会確保に努めたいと考えております。
 また、諸課題に対応するため、田野畑村総合教育会議を通じて教育委員会との連携を深め、地域の教育の課題やあるべき姿を共有し、本村教育の振興を図ってまいります。小中学校に特別支援教育支援員をそれぞれ必要数配置するほか、中学校には、部活動指導員を村単独費で配置し、教育活動の充実を図るとともに、教職員の勤務多忙化の解消を図ってまいります。
 昨年整備更新した小中学校のICT機器および一人一台のタブレット端末を有効に活用し、児童生徒一人一人の個性に合わせた教育を実現してまいります。

 人口減少と高齢化等が著しい本村において、地域力の維持および強化ならびに地域の活性化を図るためには、村外の人材を積極的に受け入れ、その定住を図ることが不可欠であります。
 地域おこし協力隊制度を活用し、現在3名の隊員が村内で活動しておりますが、令和4年度においては、新たに7名の隊員を募集することで都市部からの移住者を拡大し、産業および地域活性化に取り組んでまいります。
 移住者を呼び込むためには、住環境の確保・整備が欠かせません。空き家バンク制度の充実および情報発信の強化を図り、移住者の拡大につなげてまいります。

(2) 活力ある産業振興

 2つ目の柱は、活力ある産業振興でございます。
 農林水産業は村の基幹産業であります。活力ある持続可能な田野畑村をつくっていくために、産業の活性化は欠くことができません。
しかし、第一次産業は、高齢化や後継者・担い手の不足などによる生産量の減少が喫緊の課題となっております。同様に、商工業においても小売業など小規模事業者における後継者不足、事業承継が課題となっております。
 これらの課題を解決するためには、民間企業、第三セクター、産業団体などが連携して担い手の育成や生産・加工・流通・販売の取り組みを進める必要があります。
 第一次産業の担い手の確保や育成、経営の強化、高付加価値化に向けた具体的な取り組みへの集中支援、各産業分野における収益向上と雇用機会の創出を目指してまいります。

 まず、農業にあっては、国際基準となるグローバルギャップの承認を受けているブロッコリー等の野菜生産者への支援、新規就農者への支援、酪農の規模拡大者への支援などにより、生産の安定を図ってまいります。

 次に、水産業にあっては、サケをはじめとする主力魚種等の記録的な不漁が続き、先の見えない暗い影を落としております。
 このような中、「田野畑ワカメ」のブランド化を目指すため、現在、漁協や生産者を対象に勉強会を行っており、ブランド化に向けた第一歩として、ボイル加工施設整備について検討してまいります。そのうえで、新年度は「田野畑ワカメブランド化推進事業」として協議会を立ち上げ、品質の向上や商品開発、流通・販売の手法など具体的な検討を行うこととしております。
 また、藻場を再生するプロジェクトとして、「水産資源造成事業」に継続して取り組んでまいります。

 次に、林業にあっては、本村でもナラ枯れの被害が深刻となっております。被害の拡大を防ぐために、私有林に対する「森林病害虫等防除事業」、村有林においては「公有林村営造林事業」を実施してまいります。
 木材の生産から加工、流通までの連携による生産、加工、流通コストの一体的な削減を図るため「林業成長産業化総合対策事業」を実施してまいります。
 平成31年4月から開始された「森林経営管理制度」に基づき、間伐が行われていない森林の整備を進め、森林機能の管理保全および持続可能な森林経営を図るため、令和4年度においては、森林所有者の意向調査を行う「田野畑村森林環境税推進事業」を実施してまいります。

 観光推進体制の強化として、アフターコロナを見据え、本村の恵まれた自然とその豊かな恵みを受ける第一次産業との連携による観光商品の開発・実施に取り組むほか、情報発信を強化してまいります。
 また、観光プログラムの開発に合わせて、体験型観光の推進などの観光施策を強力に推進してまいります。

 「道の駅たのはた」は、物産・観光のみならず、地域振興の核施設としての役割が期待されています。令和4年度は4月のリニューアル1周年イベントを皮切りに、村内外の人々が気軽に集まれるカフェやミニイベントを展開し、誘客を図るとともに、ベースとなる産直産品の多品種化と充実に努めてまいります。
 旧尾肝要産直施設を改修した「地域の加工場」では、地域の農林水産物を加工し、道の駅たのはたなどでの販売につなげてまいります。地域の味を安全に安心して食べていただけるように商品開発を進めてまいります。

(3) 自治会等の活性化・安心して暮らせるむらづくり

 3つ目の柱は、安心して暮らせるむらづくりでございます。
 自治会活動の活性化は、むらづくりの根幹を担う重要な施策です。地域の課題解決や地域づくりは、地域住民が主体となって取り組むことが重要ですが、高齢化に伴い地域活動の担い手や参加者不足も生じており、今までとは違った形の支援策の検討が求められております。
 地域の魅力と活力を高め、「ここに住みたくなる村・ここで子育てしたくなる村」を進めていくためには、共同作業などの自治会活動の促進のほか、地域の魅力を再発見する活動の推進など、自分たちが暮らす地域に誇りを持つことも重要と考えております。
 新年度においても、「地域づくり交付金」や「協働のむらづくり推進事業費補助金」による支援のほか、地域と行政との情報交換がより円滑になるよう、橋渡し役としての地域協働隊職員制度の効果的な運用を図ってまいります。
 そのうえで、地域課題の解決に向けた話し合いと実践を積み重ねながら、将来を見据えた地域づくりの方向性を地域と共に検討してまいります。

 近年、地球温暖化などの影響により、これまで経験したことのない大災害が全国各地で発生しており、尊い命や財産など脅かされております。
 村民の命と財産を守るため、「田野畑村地域防災計画」や「田野畑村地域強靱化計画」に基づき、防災機能の強化を図り、安心で安全な暮らしを支えてまいります。令和4年度においては、高規格救急車1台を更新するほか、菅窪地内に防火水槽と消火栓をそれぞれ整備いたします。

 高齢化が進展するなか、公共交通の重要性が日増しに高まっております。
 交通対策にあっては、児童生徒の乗車を中心とした田野畑村総合バス「タノくんバス」を運行しておりますが、村民のニーズに合わせたコースやダイヤなどの見直しを図りながら運行してまいります。
 田野畑村地域公共交通活性化協議会が運営する、予約型デマンド交通「くるもん号」についても、利便性の向上を図るほか、75歳以上の高齢者の料金体系のあり方の検討を行い、利用しやすい公共交通体制の構築に努めてまいります。加えて、三陸鉄道は通院や通学で利用され、村民にとって欠かすことのできない重要な交通機関となっております。コロナ禍で利用客が落ち込む中にあって、本村としても「マイレールさんてつ」の基本に立ち返り利用促進を呼び掛けてまいります。

(4) 持続可能な行財政運営

 4つ目の柱は、持続可能な行財政運営でございます。
 村の財政状況は、経常経費率の上昇に伴い硬直化が顕著となっております。今後も人口減少や高齢化率の上昇などが予測されており、行財政運営を取り巻く環境はいっそう厳しくなるものと予想されます。
 住民への行政サービスを低下させないために、昨年11月に策定した「第6次田野畑村行財政改革大綱」および「第6次田野畑村行財政改革プラン」に沿って、事業の選択と集中、事務事業の見直しなどを徹底し、将来世代に負担を残さない持続可能な行財政運営に意を注いでまいります。
 自主財源が増える要素が少ない中、昨年12月3日から、いわゆる、ふるさと納税の返礼品の送付を開始いたしました。年末の1カ月間という非常に短い期間ではありましたが、全国の延べ146人の方々から2,066千円の寄附を寄せていただきました。
 寄附していただいた方々の思いを大切にし、魅力ある返礼品の開発など、引き続き内容の充実に努め、地域経済の活性化や寄附金を活用した各種施策の展開に鋭意取り組んでまいります。

4 結び

 以上、令和4年度に係る所信および施策の一端を申し述べました。これらに要する予算総額は、一般会計33億8千万円余り、特別会計を含めた全会計では49億7千万円余りとなりました。前年比、一般会計で4.9%、全会計で3.4%の減少となったところでございます。
 新年度の予算編成にあたっては、昨年度と同様に人口減少や少子高齢化等の影響により税収の減少が見込まれる中、限られた財源を有効に活用するため、継続事業の精査や縮減に取り組むとともに、経常経費の見直しを図ったところでございます。
 特にも、過去の大型投資事業に伴う起債の償還、いわゆる借金の返済額が令和6年度にピークを迎えます。本村の一般会計の総額が30数億円の規模の中で、償還の財源に6億円も向けなければなりません。2年後の償還ピークを見据え「財政健全化」の予算編成が続くことになりますが、その中にあっても事業の選択と集中、事務事業の見直し、そして知恵と工夫を総動員して何としても乗り切らなければなりません。そして、長年の懸案事項となっている新庁舎の建設に見通しを立てることで、住民や職員のモチベーションの向上を図りたいと考えているところでございます。

 今議会には「課設置条例の一部を改正する条例」を上程しております。これは、村民のニーズや行政課題などに的確に対応し、重点施策の推進に適した効率的な事務体制を整えるために課の再編を行おうとするものでございます。併せて、室を廃止し、意思疎通の円滑化および業務の効率化を図ってまいります。

 東日本大震災および台風19号からの復興・復旧に対しては、県内市町村はもとより、友好都市、全国知事会、全国市長会、全国町村会などを通じて、貴重な職員を派遣していただきました。これらの派遣は令和3年度末をもって全て終了となります。東日本大震災などからの復旧・復興は、応援職員の存在が不可欠でありました。慣れない土地にも関わらず、尽力していただいた延べ142人の応援職員の皆さんのこれまでのご労苦に対し、あらためて心から深く感謝を申し上げます。

 私は、対話と説明責任が大切であり、オール田野畑・ワンチームの体制を構築したいと訴えてまいりました。
 むらづくりの主役は村民であります。村政を運営していくにあたっては、村民の力を一つにまとめることが何よりも肝要であると考えております。
 「一人の百歩より、百人の一歩」という言葉があります。村民が同じ方向を向き、足並みをそろえて確実に歩みを進めることができる体制を構築することが、私に与えられた使命だと認識しております。
 そのためにも村民一人一人の声を大切にし、村民総参加のもとに政策を立案し、実行するむらづくりを進めてまいる所存でございます。
 新年度が、村民一人一人が未来に希望の持てる住みよいむらづくりに向けて躍進する年となるよう、引き続き、議員各位をはじめ村民の皆さまの村政運営に対するなお一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和4年度の村政運営にあたる施政方針といたします。

お問い合わせ

田野畑村役場
電話:0194-34-2111