令和6年度施政方針

2024年2月27日

 令和6年2月27日開会の令和6年第2回田野畑村議会定例会において、佐々木靖村長が施政方針演述を行い、令和6年度の村政運営の基本的な考え方や主要な施策などについての説明を行いました。

1 はじめに

 本日ここに、令和6年第2回田野畑村議会定例会が開催され、令和6年度当初予算案や村政の重要案件をご審議いただくにあたり、村政運営に取り組む施策について所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ村民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 まず、令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。被災地では懸命な復旧作業が行われており、一日も早い復旧復興を願ってやみません。本村も、東日本大震災での甚大な被害による心の傷が癒えることはありませんが、被災地としての経験から、県や県内市町村と連携して、早期の復旧に向けた必要な支援を行ってまいりますとともに、復興に向けて現地に寄り添った支援を末長く続けていく所存であります。

 さて、全国的な問題である人口減少については、国立社会保障・人口問題研究所が令和5年12月に公表した人口推計で、本村の2050年人口が1,388人で対2020年比54.6%減と大変ショッキングな数字となりました。少子高齢化による急激な人口減少は、税収の減少や経済の縮小などにより生活基盤の維持が困難になる恐れもあることから、県や他自治体などと連携して有効策を探りながら、少子化・子育て支援対策等を講じてまいります。

 また、昨年度、金地金でいただいた5億2,824万円の寄付につきましては、村が持続的に発展するための貴重な浄財として「ふるさと基金」に積み立て、総合計画のむらづくり重点施策の実現に向け、今後の活用方針を定めたところです。

 このような中、令和6年度の当初予算編成では、総合計画に沿った各種施策を展開し、計画の基本理念である「参加・協働・創造」による持続可能なむらづくりを力強く推進してまいります。

2 令和6年度むらづくりの施策の方向

令和6年度の村政運営においては、総合計画のむらづくりの重点施策を軸に、持続可能なむらづくりの6つの構造的領域ごとに設定した将来像の実現に向け、むらづくりの体系と主要指標に沿った各種施策を中心に展開してまいります。ここでは主なものについてご説明いたします。

(1) 環境

 1つ目の将来像、「豊かな自然と共生し暮らしに安らぎのある村」についてでございます。

 地球温暖化、海洋汚染、森林破壊など、環境問題は私たちの生活にさまざまな悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、世界共通の課題として取り組む必要があります。温室効果ガスの排出量を減らすなどの環境保全に取り組み、次世代に継承できる持続可能な社会を目指してまいります。

 国では「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を宣言し、脱炭素化に向けた取り組みを進めております。本村においても、令和6年2月に「田野畑村地球温暖化対策実行計画」を策定したところであります。計画に掲げる「省エネルギー対策の推進」や「再生可能エネルギーの導入推進」などの取り組みを、村民や事業者の皆さまと一体となって進めるため、ここに、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」を目指すことを表明いたします。ゼロカーボンシティの実現に向けて、村民や事業者の皆さまの地球温暖化対策への理解を深めながら、本村の豊かな自然環境や安全・安心な生活環境を守り、次世代へと引き継いでまいります。

 上下水道は、生活や産業活動に欠かせないライフラインの一つです。村は、経営状況の明確化と適正な財産管理を図ることを目的として、令和6年度から公営企業会計に移行することとしています。経営基盤の強化や財政マネジメントの向上に努め、経営・資産の状況を正確に把握しながら、将来に渡って持続可能な経営を実現できるよう、引き続き安定した水の供給と公共水域の保全による生活環境の向上に努めてまいります。

 思惟大橋コミュニティ公園は、村内外から多くの家族連れなどが利用しています。しかし、遊具の老朽化が進み、安全性の確保などが懸念されることから、リニューアルを検討し、利用者に安全で利用しやすい空間を提供できるように努めてまいります。

(2) 生活

 2つ目の将来像、「安全で活き活きとした生活が営まれ、人々が集い笑顔あふれる村」についてでございます。

 人口減少が進行していく中、定住促進にはさまざまな対策が必要であり、大きな柱として、子どもから高齢者まで、心身ともに健やかに生活できるように、それぞれの立場に立った支援が求められており、引き続き時代のニーズに合った対策を検討してまいります。

 子育て支援対策としては、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行う「子育て世代包括支援センター」において、ワンストップ相談窓口による、出産前後の母子への心身サポートを図ってまいります。
 令和5年4月に開園した「たのはたこども園」も順調に運営しており、次世代を担う子どもたちの健やかな成長を促しております。
 また、子育て世代への経済的な支援策として、エンゼル祝金の支給や育英奨学資金貸付、義務教育入学および卒業祝金支給などの事業を継続してまいります。

 福祉対策の新規事業としては、これまで必要性の検討を重ねてきた2つの助成事業を実施いたします。一つ目は、18才以上で一定要件を満たす方の補聴器購入に対する助成、二つ目は、50才以上の方が帯状疱疹ワクチンを接種する場合に助成を行います。

 高齢者福祉対策は、住み慣れた地域で安心して生活していただけるよう、「地域包括支援センター」において、保健事業との一体的な施策の展開により、支援を行ってまいります。

直営診療体制については、絶対に無医村にしてはならないとの強い思いで、診療所の医師の招聘活動を行ってきた結果、令和6年4月から新しい医師が赴任することになりました。後任が見つかるまではと、診療を続けていただいた現医師に感謝と敬意を表するとともに、村民の皆さまには、これまでと同様に切れ目なく安心して受診できる診療体制を確保してまいります。

 消防・防災については、消防団活動の活性化による地域防災力の向上を図るため、担当区域無火災1年や勤続優秀団員輩出、消防屯所・消防車両維持管理など、村民の生命と財産を守る消防団の活動に補助金を交付します。また、尾肝要地内に消火栓1基を整備し、防災機能の強化を図ってまいります。

 住居環境の充実では、木造住宅耐震補強工事やトイレ水洗化への補助を継続するとともに、住宅建築物省エネ改修補助金を新たに加え、省エネで快適な住宅改修の支援を行ってまいります。特にも木造住宅の耐震補強の重要性は、能登半島地震の被害を見ますと誰もが認めるところだと思いますが、改修費用の面でなかなか取り組めない状況にもあろうかと思います。今後ともニーズの把握に努めながら、補助制度の活用を促してまいりたいと考えております。

(3) 学習(ひとづくり)

 3つ目の将来像、「ふるさとに愛着を抱き、人間性豊かな人材の育成」についてでございます。

 児童生徒は、地域社会の活動の中で社会性を学ぶことから、地域社会の環境や教育力の充実が一層重要性を増しています。その中でも、学校教育はもちろん、スポーツ活動や芸術・文化、生涯学習など教育活動全般が健全育成に大きな役割を果たしております。

 学校教育では、授業や部活動での熱中症対策として、中学校体育館に空調設備を設置し、生徒の健康と快適な学習環境の向上に努めてまいります。
 小中学校の特別支援教育支援員に加え、新たに不登校児童生徒支援員を配置するほか、中学校には、部活動指導員の配置を継続し、教育活動の充実とともに、教職員の多忙化の解消を図ってまいります。

 田野畑村総合教育会議は、あらゆる課題に対応するため、教育委員会や小中学校との連携を図りながら、地域教育の課題やあるべき姿を共有し、本村教育の振興を図ってまいります。

 奨学金制度については、貸付上限額、償還免除要件の見直し等を行い、利便性の向上を図ってまいります。
 また、若者の村内定住・移住を促進するため、奨学金返還等の負担軽減を図ることを目的に、一定の条件の中で村内定住者の奨学金の返還を償還完了まで支援してまいります。

(4) 産業

 4つ目の将来像、「産業間連携とイノベーションにより地域資源が創造的に活用される、循環型・共生型の働き続けられる村」についてでございます。

 村の基幹産業は農業・漁業をはじめとする第一次産業です。村の発展の歴史から見ても、第一次産業の発展なくして村の発展はありません。しかし、地球温暖化による気候変動や社会情勢に起因する物価高騰と生産物価格の不安定性、後継者・担い手の確保などのさまざまな課題を抱えているのが現状です。商工業や観光業においても同様であり、産業全体においてこれらの課題を乗り越える打開策の検討が急がれています。
 今後も、第一次産業の担い手の確保や育成、経営の強化、高付加価値化に向けた具体的な取り組みへの集中支援を継続するとともに、各産業分野における収益向上と雇用機会の創出を図ってまいります。

 農業にあっては、高齢化に伴って園芸農家が減少の一途をたどっており、農協への出荷者に限らず、道の駅産直の品揃えも将来的に危惧されています。このことから農作物を出荷する農家の種苗や包装資材購入費に対して一部を補助し、生産農家の維持・拡大に向けて取り組んでまいります。
 また、資材高騰や子牛価格の低迷で苦しい経営が続く畜産農家に対しては、引き続き草地更新や飼料用作物の新規作付けへの一部補助を継続し、自給飼料の安定生産を支援してまいります。
 老朽化が進む村営長嶺牧野の畜舎については、昨今の社会情勢と村内における畜産業の将来を見据えて新築を見送りとしたことから、現畜舎の耐震調査などを行い、長期利用に向けた改修工事の計画をまとめてまいります。

 林業にあっては、ナラ枯れ被害木をはじめとする枯死木の除去が喫緊の課題となっております。生命や家屋、生活などに被害が及ぶ恐れがあるものについては県と情報を共有し、除去作業を進めてまいります。
 林業就労者の高齢化や減少が著しい状況に加えて、労働安全衛生規則を徹底するため、防護服や安全靴など安全装備品の購入に係る経済的負担が増えていることから、経費の一部を助成し、林業従事者の労働環境改善と新規就業者の確保に向けて支援してまいります。
 また、森林環境譲与税を活用して、意欲と能力のある経営体が施業する国県事業に対してかさ上げ補助を行い、村内民有林の整備を推進してまいります。

 昨年は、ツキノワグマの出没や被害に関するニュースが連日のように報道されました。本村においても例外ではなく、民家周辺での出没や里山での果樹被害が多く報告されました。被害を未然に防ぐためには、クマを寄せ付けない対策が必須であることから、電気柵設置補助を行ってまいります。
 有害鳥獣の駆除にあたっては、狩猟免許を有する実施隊の方々にご尽力いただいているところではありますが、隊員の高齢化や人員不足が課題となっております。村鳥獣被害防止対策協議会への補助金を増額し、その活動の中で狩猟免許取得経費や新規の猟銃購入および保管に係る経費の一部に対して補助するなど、隊員確保に努めてまいります。

 漁業にあっては、地球温暖化に伴い主要魚種等の水揚げの低迷が続いており、漁業者をはじめ漁協経営にも将来への不安が募る一方であります。特にも秋サケは、平成30年度の約433トンをピークに年々水揚げ量が減少し、令和5年度はわずか4トン余りとピーク時の1%にも満たない過去最低の水揚げとなっており、獲る漁業から育てる漁業への転換を強力に模索する時期が到来していると感じています。
 令和3年度から県の地域経営推進費を活用して取り組んできた藻場再生プロジェクトの成果を引き継ぐため、新年度もアワビとナマコの放流支援を継続します。併せて陸上でのウニの蓄養試験を実施し、ウニの飼育方法や漁期外出荷に係る課題の解決策を検討してまいります。
 田野畑産ワカメのブランド化については、一次作業場の整備方針を再検討するため養殖漁業振興調査を行ってまいりました。その中で、ワカメ養殖業における振興方針は、第一に田野畑村の強みである品質を最大限生かすこと。第二に生産量の少なさを逆手に取り、田野畑産ワカメの希少性と品質の良さを評価する販売先を開拓することが重要であるとの結論に至りました。
 このことから、ワカメ養殖漁業者への経営支援や後継者・新規参入者の確保対策等を具体的に検討してまいります。また、生産量の拡大と品質保持に注力した商品化に取り組みながら、田野畑産ワカメの存在価値を高めてまいりたいと考えております。

 商工業は、田野畑村商工会と連携し村内経済と経営安定化を図りながら、中小企業運転資金融資や新規起業、事業拡大などへの支援を継続してまいります。課題とされていた事業継承については、要件緩和により補助金を活用しやすくすることで、廃業せずに事業を継続できるよう支援してまいります。

 観光の推進については、昨年、三陸ジオパークが日本ジオパークに再認定されるという明るいニュースがありました。さらには、ニューヨーク・タイムズ紙が2023年に行くべき場所として盛岡市を選出、また、先日の報道では、ロンドン・タイムズ紙による日本で訪れるべき場所14選にみちのく潮風トレイルが取り上げられ、その中で上級者向けのルートとして本村が紹介されるなど、岩手県、沿岸地域が国内外から注目を集めています。これらを契機として、6月に全線開通5周年を迎えるみちのく潮風トレイルのウォーキングイベントの開催、観光コンテンツのブラッシュアップ、外国人観光客や教育旅行の誘致などに積極的に取り組み、体験型観光の充実により交流人口の拡大を図る観光の村を目指してまいります。

 地域振興の核である、道の駅たのはた「思惟の風」は、リニューアルオープンから4月で3周年を迎えます。産業まつりなどのイベントを開催することで、利用客増加によるにぎわいと村産品の消費拡大を図りながら、更なる運営強化に取り組んでまいります。

 たのはた産品の地域ブランド化推進にあっては、引き続き商品加工の充実とさらなる高付加価値化に取り組み、特にもこれまでに完成した商品のPRに力を入れ、民間事業者と連携した販路拡大のため、販売戦略を立てた上で営業活動や物産販売に取り組んでまいります。

(5) 交流

 5つ目の将来像、「多様な交流を大切にし、心ふれあう村」についてでございます。

 地域課題の解決や地域づくりは、地域住民が主体となって取り組むことが求められています。個人でできることは個人が解決する自助、個人でできないことは家庭や地域が支える互助・共助、地域ができないことは行政がサポートする公助といった相互間の連携が必要不可欠です。

 住民自治活動の推進を支援するため、「地域づくり交付金」や「協働の村づくり推進事業費補助金」による支援を継続してまいります。また、地域課題の解決や地域と行政の情報交換が円滑に行われるように、地域協働隊職員制度や地区懇談会などの効果的な運用を図ってまいります。

 在京田野畑村ふるさと会は、本年度から事務局を役場が担い、情報交換など連携を強化することで村出身者のUターンにつなげられるよう活動を支援しております。また、友好都市や都市住民との交流事業として、埼玉県深谷市や青森県藤崎町との交流促進を図るとともに、早稲田大学との地域連携ワークショップ事業において地域課題の解決に取り組み、交流人口の拡大による移住定住の促進にも努めてまいります。

 地域おこし協力隊制度は、地域力の維持・強化と地域活性化に重要な役割を果たすことから、村外の人材を積極的に受け入れてまいります。また、移住定住には住環境の確保などの支援が欠かせません。移住支援情報の発信など積極的なPR活動を行ってまいります。

 令和5年10月に九戸村、野田村、普代村、本村の県内4つの村で構成する四村サミット宣言を行いました。小規模自治体が抱える課題解決や豊かな自然資源を活かした魅力の情報発信など、四村が連携して発展の可能性を探ってまいります。

 新役場庁舎の建設については、新庁舎建設検討委員会で検討を進めております。検討委員会の協議内容につきましては、村民懇談会などの機会を捉えて情報提供を行い村民のご理解を深めるとともに、村議会庁舎建設特別委員会のご意見もいただきながら、丁寧に進めてまいります。

(6) 交通・情報基盤

 6つ目は、「誰もが容易に移動や情報を得られるよう、連携・基盤の充実と機能発揮」についてでございます。

 日常生活に密着する道路の重要性については、能登半島地震の現状を見れば誰もが認めるところだと思います。国県管理分との連携を図るとともに、村道管理については、補助金等を積極的に活用し計画的な改良と維持補修により、安全で効果的な道路環境の維持に努めてまいります。

 田野畑村総合バス「タノくんバス」は、児童生徒の登下校を中心とした運行となっておりますが、村民のニーズに合わせた柔軟な対応を検討してまいります。地域公共交通活性化協議会が運営する予約型デマンド交通「くるもん号」では、加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーの方など、運転免許返納者や高齢の方の運賃無償化に向けた検討を行うとともに、公共交通の維持および確保のために総合的な交通対策を推進してまいります。

 令和6年4月に開業40周年を迎える三陸鉄道は、記念式典や写真展の開催を予定しており、沿線自治体と連携を図りながら、住民の更なるマイレール意識の醸成と地元利用の底上げを図ってまいります。本村においても、通院通学などに欠かすことのできない重要な交通手段であることから、「マイレールさんてつ」を合言葉に利用促進を図ってまいります。

 自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用した行政サービスの効率化と住民サービスの向上を図る取り組みです。本村においては、LINEを活用した行政サービス情報の配信や、住民からの通報・問い合わせ対応など、迅速かつ効果的な双方向コミュニケーションを構築してまいります。今後においては、費用対効果の面からも小規模自治体に合ったサービスの在り方、DXの推進を検討してまいります。

3 結び

 以上、令和6年度の所信および施策の一端を申し述べました。これらに要する予算総額は、一般会計35億5千万円余り、特別会計および公営企業会計を含めた全会計では53億8千万円余りとなりました。対前年比、一般会計で5.4%、全会計では8.2%の増加となったところでございます。
 令和6年度の予算編成に当たっては、昨年度と同様に人口減少や少子高齢化、災害復興事業の完了等の影響により税収の減少が見込まれる中、限られた財源を有効に活用するため、継続事業の精査や縮減に取り組むとともに、経常経費の見直しを図ったところでございます。

 昨年も申し上げましたが、過去の大型投資事業に伴う起債の償還、いわゆる借金の返済額が令和6年度から13年度まで高止まりが続くことから、持続可能な行財政運営のため「財政健全化」を旨とした予算編成を心掛けてまいりました。令和4年度、5年度の予算は、対前年度マイナスシーリングとして編成したことなどから、中長期財政見通しの単年度財政赤字は、当面先送りできる見通しとなりました。
 一方、国内外に目を向けますと、DXやGX(グリーントランスフォーメーション)、SDGs(持続可能な開発目標)など、時代が求める新たな施策にも取り組むことが求められております。

 このような村政を取り巻く諸課題のうち、人口減少対策を進めていく上でも重要であり、一体的・重点的に進めていくことで効果を上げられることが見込まれる、地域おこし協力隊制度を活用した移住・定住の推進、ふるさと納税の拡大、道の駅の機能強化、産業開発公社の経営・働き方改革等のプロジェクトを取り扱わせるため、企画観光課内に特定政策推進室を置き、トップダウン的な手法も取り入れながら施策を推進してまいりたいと考えております。

 冒頭にも触れましたが、人口減少対策は特定地域の問題ではなく、国を挙げて喫緊に取り組まなくてはならない大きな課題です。本村では他自治体に先駆けて保育料の無料化を実現したほか、エンゼル祝金の交付、医療費・給食費の無料化など、子育てに対しては手厚い支援策を講じてきたものと思っておりますが、少子化に歯止めが掛からない現状を鑑みますと、金銭的ではないところへの支援が求められているのかもしれません。
 Uターンを含め、移住、定住先として選んでいただけるためには、暮らしやすい地域づくりを推進し、住んで良かったと感じる村民の割合を高め、「凛として輝き続ける田野畑村」を実現させる必要があります。そのため、人口が少ないながらも村民の英知と力を結集させ、心をひとつにして確実に前進していく「オール田野畑・ワンチーム」の体制を構築すべく傾注してまいりました。むらづくりの主役は村民の皆さまであることを念頭に、次世代に未来永劫持続可能な村として引き渡せるよう、堅実な行財政運営に努めてまいります。

 令和6年度が、村民一人一人にとって災害や事故等がなく健やかな1年となり、五穀豊穣や大漁に沸くような飛躍する年となりますよう、そして安心して安全に暮らせる地域の実現のため、引き続き議員各位をはじめ、村民の皆さまの村政運営に対するなお一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、令和6年度の村政運営にあたる施政方針といたします。

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